今回教えてくれたのは……「金町駅前脳神経内科」院長・内野勝行先生

内野勝行(うちの・かつゆき) 先生
都内病院の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て、2015年に自身が院長を務める「金町駅前脳神経内科」を開院。専門は脳神経内科だが、鍼灸や漢方といった東洋医学にも精通し、体全体の調和がとれるトータルアドバイスを行っている。 ▼金町駅前脳神経内科 https://www.knoc.jp/

頭が重たい、痛い……それ、緊張型頭痛かも

頭痛が起こる原因はさまざまありますが、そのひとつに心身のストレスが原因で生じる緊張型頭痛があります。

・何となく頭や首が重苦しい感じがする

・動けないほどではないけど、ギューッと締め付けられるような痛みを感じる


このように、頭や首などが重く締め付けられるような鈍い痛みが特徴です。
頭痛のなかでも、寝込むほどの痛みではなく、ついつい我慢をして過ごしてしまう人が多いとされています。
緊張型頭痛の原因は、心身のストレスによる筋肉の緊張です。
例えば、長時間スマホやパソコンを見続けていると、首や肩、頭の筋肉が硬くなってしまい、頭痛を引き起こす原因に。
また寒い室内で長時間過ごしたり、精神的なストレスで体が緊張してしまったりといったことも緊張型頭痛の原因になります。

これらの身体的、心理的ストレスにより、頭の筋肉である側頭筋や、肩から首にかけての筋肉である僧帽筋が硬くこわばってしまうことで、まるでサイズの小さな帽子をかぶっているように頭が締め付けられてしまうのです。

緊張型頭痛はどんな人にでも起こる症状ですが、中でも筋肉量が少なく、普段から血行が悪い人がなりやすい傾向にあります。
デスクワークが中心で仕事中なかなか動く機会のない方や、運動習慣がなく筋肉量が少ない方は、緊張型頭痛を起こしやすいといえます。

緊張型頭痛にはマッサージが効く?

緊張型頭痛を未然に防ぐ、緩和するためには、心身のストレスを取り除き、筋肉の緊張をほぐしてあげることが大切です。

効果的な方法のひとつにマッサージがあげられます。
マッサージを行うと筋肉の緊張がほぐれ、血行促進にもつながります。
簡単なストレッチなどで体を動かしたり、蒸しタオルで首周りを温めたりする方法もおすすめです。

マッサージやストレッチなどを仕事の合間に取り入れると、心身のリフレッシュにもなり、心理的ストレスの解消にもつながるでしょう。

また緊張型頭痛の予防・緩和には、日々の習慣を見直すことも重要です。

・長時間のスマホ、パソコン作業は避ける

・空調や着るものを調節し、室内が冷えすぎないようにする

・定期的な運動習慣を取り入れる

・リラックス、リフレッシュできる時間をつくる

・シャワーだけで済ませず、湯船にしっかり入る

・入浴後にストレッチを行う

このように身の回りのちょっとした生活習慣から改善してみましょう。

緊張型頭痛を和らげるマッサージ方法

緊張型頭痛を和らげるためには、側頭筋のマッサージがおすすめです。

頭には前頭筋、側頭筋、後頭筋といった複数の筋肉があります。
側頭筋は、こめかみから耳の上に広がる大きな筋肉で、動かす機会が多く、ストレスの影響を受けやすいのが特徴です。
この側頭筋をマッサージでほぐすことで、血行促進にもつながり、緊張型頭痛を緩和させることができます。

側頭筋のマッサージは次の4つのステップで行います。

ステップ1:耳の上のマッサージ

出典:著者 寺林陽介、監修 内野勝行『寝てもとれない疲れをとる神マッサージ』(2021)


手の位置:両手の指の第二関節を曲げ、薬指と小指の第二関節を耳の上にぐっと押し当てましょう。

手順①そのまま10秒程度グリグリとこぶしを上下に細かく動かして、耳の上をマッサージ。

手順②手の位置を少し上げて、こめかみの横辺りを10秒程度グリグリとマッサージ。

手順③さらに手の位置を少し上げて、同じようにグリグリと頭をもみほぐします。

ステップ2:こめかみのマッサージ

出典:著者 寺林陽介、監修 内野勝行『寝てもとれない疲れをとる神マッサージ』(2021)


手の位置:両手を軽く広げ、手首の小指側にある盛り上がった部分(小指球)を、こめかみの下あたりにグッと押し当てます。

手順①押し当てた手をグルグルと10回後ろ方向に回してマッサージ。

手順②手の位置を少し上げて、こめかみのくぼみ辺りに押し当て、同じように10回ほど回してもみほぐします。

ステップ3:後頭部のマッサージ

出典:著者 寺林陽介、監修 内野勝行『寝てもとれない疲れをとる神マッサージ』(2021)


手の位置:両手でこぶしをつくり、小指の第三関節を後頭部の耳の下から頭蓋骨の下の端あたり(図の①〜③)にグッと押し当てます。

手順①まずは耳の下の位置(図①)に押し当て、10秒程度グリグリとこぶしを左右に細かく動かして、後頭部をマッサージ。

手順②手の位置を頭蓋骨の下のラインにそってずらし(図②)、同じように10秒グリグリともみほぐします。

手順③さらにうなじのあたりにずらし(図③)、10秒グリグリとマッサージします。

手順④片方の手の小指の第三関節を、後頭部の中心、髪の生え際の少し上のくぼみ(図④)にグッと押し当てて、10秒グリグリともみほぐします。

ステップ4:側頭部を温めてリラックス

出典:著者 寺林陽介、監修 内野勝行『寝てもとれない疲れをとる神マッサージ』(2021)


手の位置:目を閉じて両方の手のひらを、側頭部の耳の上あたりに当てます。

手順①手のぬくもりを感じながら、頭皮をやや引き上げ30秒キープしましょう。

側頭部マッサージと合わせて、背中を伸ばすストレッチもおすすめ

緊張型頭痛の緩和には、紹介したマッサージと合わせて、肩や背中周りのストレッチを行うと良いでしょう。
ストレッチポールや丸めた布団を背骨に沿わせ、仰向けになることで肩や背中の筋肉のストレッチができます。
ストレッチにはリラクゼーション効果もあるので、心身のストレスを感じやすい人におすすめです。

また仰向けの状態で、やわらかいゴムボール(テニスボールサイズ)を背骨と肩甲骨の間において、左右に体をゆらして筋肉を刺激する方法も効果的。
最後は仰向けの状態で、首の付け根にボールをおいて10秒程度首周りを伸ばしましょう。

サロンマッサージを通して、根本から改善しよう

緊張型頭痛でお悩みの方は、セルフマッサージにプラスしてサロンでのマッサージを取り入れるのもおすすめです。

サロンマッサージのメリット

緊張型頭痛の原因には、頭の筋肉の緊張に加えて眼の疲れや首コリ、肩コリなども関係しています。
しかし目の周りは繊細な部分であり、首周りも神経やリンパ、血管が集中しているため、素人がむやみにもみほぐすと逆効果になる場合もあります。

サロンでは施術者がカウンセリングを行い、一人ひとりの体の状態や筋肉のコリに合わせた全身のマッサージを行っています。
適切な手技で筋肉をもみほぐしてもらえるので、緊張型頭痛や体のだるさを感じている人にはぴったりでしょう。

また香りや音楽、照明などでリラックスできる空間づくりをしているサロンもあります。
心身のストレスを忘れ、リラックスタイムを過ごしたい人にもおすすめです。

緊張型頭痛はセルフやサロンのマッサージでダブルケア!

心身のストレスによる筋肉のこわばりが原因で生じる緊張型頭痛。 ついつい我慢して過ごしてしまう人もいますが、痛みを感じた際はマッサージやストレッチを取り入れてケアすることが大切です。 さらにスマホやパソコンの使用時間を意識したり、定期的な運動を取り入れて筋肉を伸ばしたりすることも緊張型頭痛の緩和につながります。 心身のストレスや疲れを感じる人は、ヘッドマッサージや全身のマッサージが受けられるサロンに通ってみるのもおすすめ。 リラックスできる空間で、マッサージを受けてゆったりと過ごしてみるのもいいでしょう。 ダブルのケアで、頭痛を緩和させ、心地よく過ごせるようになるといいですね!