耐えられないくらいの緊張に「大友組に帰ってきたな」って(笑)

遂に映画『るろうに剣心』の最終章『The Final』『The Beginning』が連続公開されますが、製作・出演が決まった時はどういうお気持ちでした?

すごくうれしかったですね。(剣心役の佐藤)健さんとか(大友啓史)監督とかスタッフのみなさんは、前作がものっすごく大変だったっていうのがあるから、「本当にやるのか?」「いつかはやらなきゃならないんだろうけど…」みたいな雰囲気だったのではと思いつつ(笑)。

これだけ大変な作品は他にはないっていうくらい、毎日アクションや緊張感が続く何ヶ月間だと思うので。気合いがないとそうそう挑めない作品なんですよね。だから、みなさんのそういう熱量をしっかり理解して参加しないといけないな、と思って臨みました。

武井さんご自身の状況も1作目から大きく変わる中、これだけ長期にわたって同じ役を演じるのはめずらしいですよね。

そうですね。ただ今作は、「剣心の壮絶な過去を知って、前回よりちょっと大人になった薫ちゃんになってるから」という風に、監督から言われていて。剣心の過去を知る(雪代)縁として新田真剣佑さんが加わられたり、(雪代)巴役の有村架純さんが登場されます。初めて剣心の過去を知った薫ちゃんの心情っていうのを常に現場では意識していましたね。

撮影現場はどのような雰囲気でした?

今回は『The Final』『The Beginning』の2作品を同時に撮影していたんです。でも私が演じる薫は『The Final』の方にしか出ていないので、半分はよくわからなくて(笑)。薫にとって『The Beginning』は知らなかった話なので、台本を読まないようにしてたんですね。だから、撮影中の(剣心役)佐藤(健)さんが満身創痍になっていたり、スタッフのみなさんが大変そうな雰囲気なのを横で見ていて、「またすごいことになってるな…」って思いながらやってました。

毎回、アクションのすごさには定評がありますもんね。前回の公開時にも佐藤さんが「怪我なく全部撮り終えられただけで奇跡」と言ってらして。

やっぱり剣心って、現場の中でもすごく偉大な存在で。アクションでもそれ以外でも、スタッフさんも食らいついて行っているような感じがするくらい、佐藤さんの中で剣心っていう存在が確立されているんですよね。佐藤さんも集中されて、現場でずっと、剣心としていてくれるので。私としては、とても頼もしくもあり、良い緊張感の中での撮影でした。

撮影場所も、前作の時は全国各地30カ所以上だったと伺いました。

今回も、すごくいろんなところへロケに行きましたね。セットもさらにパワーアップしていて。どこまで作るの、って驚くくらい美術もすごかったです。

シリーズも4作目になりますが、「『るろうに剣心』の現場に帰ってきたな」と実感する、他とは違う特徴はありますか?

大友監督って、シーンの最初から最後まで、ひと回しを何度もテイクを重ねる監督なんですよ。だから、舞台を何回もやってるような感覚で。その緊張感を久しぶりに感じて、1作目の初めて現場に入った時の感覚を再び味わった感はありましたね。もうほんとに、耐えられないくらい緊張するんですけど(笑)。大友さんの組に戻ってきたなって実感して、ほんとに奮い立たせるような気持ちでやってました。

今回の見どころをおしえてください。

もう、1本でも多すぎて語れないんですけど(笑)。まず今回は二部作を通して、ずっと謎だった剣心の過去がすべて明かされるので、そこが今までとは違う見どころだと思います。

私自身は、微力ながらも、薫ちゃんっていう役を通してこの作品に携われるっていうだけで、すごくうれしくて。たくさん原作ファンがいる作品だと思うので、その方たちにも楽しんで見ていただけるよう、みんなが同じ方向を向いて必死になって作った作品だ、っていうことは言えるかなって。

試写では、『The Final』から『The Beginning』まで続けて見せていただいて。本当に息継ぎできないくらいの作品で4時間以上あるんですけど、それでも、どっと疲れるかと思いきや、見た後は満足感でいっぱいになれたんですよ。なんかこう、達成感というか(笑)。原作が好きな方も、今までの映画版を見てくださっている方も、同じような気持ちで満足してもらえる作品になってるんじゃないかな、と思います。

1作目の頃からは結婚・出産という変化がありましたが、出産後すぐの頃からお仕事復帰までの時期、ビューティ系のセルフケアではどんなことを?

湯船に浸かって長風呂したりっていうのもありましたけど、子どもが寝て家事とかも済ませた後に、フィットネスバイクのトレーニングをしてました。最初はつらいですけど、3日4日続けてると朝すっきり起きられるようになったり、すごく動けて家事が進んだり、1日をハッピーに過ごせるんですよね。1回苦しいのを乗り越えて軌道に乗ってくると、精神的にちょっと、解き放たれる瞬間があるんです。

今も筋トレは続けているのでしょうか。

自分にできるペースで、気分が乗った時に無理せず、っていうのが大前提なんですけど。お正月とかは休んだりしながら、続けてます。今はフィットネスバイクを30分やりながら腕のメニューを追加して、時間をいかに短く感じさせるかっていう方法を編み出したりだとか。

ヘアメイクでのこだわりはありますか? 今日もされているセンターパーツのまとめ髪は、武井さんのトレードマークだと思いますけど。

確かに(笑)。特にこだわってるわけではないですけど、メイクもヘアも究極に引き算したスタイルが好きで。シンプルを追求していったらこうなった感じですね。結ぶか下ろすか、っていう選択肢の中で、服に合わせてバランスを取っています。

トライしてみたい髪型や髪色はあります?

ほんっとに短いベリーショートはやったことがないので、一度チャレンジしてみたいです。小学校の頃に1回ショートにしただけで基本的にロングだし、ちょっと切ってもすぐにまた伸ばしたいなって思っちゃうから。せっかく切るなら……染めてみますか?(笑) いつかやってみたいですね。

プロフィール

1993年12月25日、愛知県生まれ。雑誌『Seventeen』モデルを経て映画『櫻の園』で女優としてデビュー。代表出演作に、ドラマ『Wの悲劇』『すべてがFになる』『黒革の手帳』、映画『愛と誠』『今日、恋をはじめます』『クローバー』など。『るろうに剣心』シリーズは、2012年の第1作目から出演。

お知らせ

公開中の映画『るろうに剣心 最終章 The Final』に神谷薫役で出演。 原作の「人誅編」をベースにした大人気シリーズ4作目の本作。 過去に追い詰められる剣心、最後の戦いが始まるー。

©和月伸宏/集英社 ©2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final」製作委員会
ワンピース62700円(ディウカ/ドレスアンレーヴ TEL/03-5468-2118) カーディガン 143000円/シクラス TEL/03-6280-7712) ピアス84700円(マリハ/マリハ 伊勢丹新宿店 TEL/ 03-6457-7128)
構成/菅野美咲(本誌) 取材・文/江尻亜由子 撮影/新田桂一(ota office) スタイリング/岡本純子 ヘアメイク/竹下あゆみ