今回教えてくれたのは……加茂整形外科医院 院長・加茂淳先生

加茂淳(かも・じゅん) 先生
金沢大学卒、医学博士。日本整形外科学会専門医、元日本リウマチ学会専門医、日本心療内科学会認定登録医としての資格も持ち、1982年に自身が院長を務める「加茂整形外科医院」を開院。 整形外科の幅広い知識を持ち、現在も腰痛などの慢性痛に悩む人々の治療などにあたっている。 著書に『トリガーポイントブロックで腰痛は治る!』、『その腰・肩・ひざの痛み治療はまちがっている!ートリガーポイント療法でツライ痛みが解消する 』などがある。 加茂整形外科医院ホームページ http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/

腰痛を引き起こす原因って?

腰痛を引き起こす原因となるのは、大まかには血行不良や筋肉の緊張、こりです。
もっと具体的に言うと、

・デスクワークや運転、寝返りをしないなど、長時間固まった姿勢

・長時間の繰り返す動作や、慣れない運動・作業

・姿勢が悪い、骨盤が歪んでいる

・ストレスやうつなど精神的な要因


といったものが血行不良や筋肉のこりの原因となり、それが腰痛という形で不調として現れます。

ただ、腰痛は1つの原因から起こるのではなく、生活環境、労働環境、社会的立場など、いくつかの原因が重なって起きるものだと考えられます。
一時的に緩和することはできますが、根本から改善することも視野に入れてケアをしましょう。

腰の痛みを和らげるには、ストレッチとマッサージが効果的

腰痛の痛みを和らげたり、痛みを発生しにくくしたりするには、ストレッチやマッサージをするのが効果的です。

長時間固まった姿勢でいることが多いなら、時々イスから立ち上がって体を動かし、滞った血液の流れをスムーズにしましょう。
繰り返しの動作や、慣れない運動などで体を動かして腰痛になった場合にも、実は安静にしているよりも、体や筋肉を動かした方が腰痛が改善されることがあります。
これは緊張した筋肉が、ストレッチやマッサージによりほぐされるためです。

ストレスから来る腰痛を緩和させるには、音楽や趣味を楽しむなど、自分なりのストレス解消の方法を探ることから始めましょう。
人の手による腰痛マッサージを受けてリラックスすることも、腰痛緩和やストレスの解消、両方の面で効果的です。

おうちでの腰痛ケアに効果的!セルフストレッチ・つぼ押しの方法

セルフで腰痛をケアしたいときには、おうちで取り入れやすい、ストレッチとつぼ押しから始めてみましょう!

最近腰痛に悩まされることが増えてきたという人は、日々のセルフケアを続けるだけでも、腰痛が緩和されていくでしょう。
ここでは2つの腰痛に効果的なストレッチ方法と、腰痛を緩和させるつぼの押し方をご紹介します。

腰痛を和らげるストレッチ|腸腰筋編

腰には腸腰筋と腰方形筋という筋肉があり、この2つがこり固まることで腰痛を引き起こしやすいとされています。
痛みを緩和するには、それぞれの筋肉をストレッチするのが効果的です。

・腸腰筋のストレッチ

腸腰筋とは、股関節の奥にあるインナーマッスル(身体の深いところに位置する筋肉)です。
座った姿勢でい続けると、腸腰筋が縮こまり、腰痛の原因となります。
マッサージでアプローチするのが難しい部位でもあるため、しっかりストレッチしましょう。
手順①足を前後に開き、前の足は直角(90°)に、後ろの足は伸ばして膝をつきます。

手順②両手を膝に置き、上体をゆっくり前にスライドさせます。

腰を反ったり猫背になったりせず、背骨をまっすぐに保ちましょう。

手順③スライドした状態をゆっくりと元に戻します。
②と③を5回ほど行ったら前後の足を入れ替え、反対側も同様に行います。

腰痛を和らげるストレッチ|腰方形筋編

・腰方形筋のストレッチ

腰方形筋は腰椎を両方から支え、姿勢を安定させる筋肉です。
本来は左右対称についている筋肉ですが、バランスが崩れてしまうと片方だけ腰痛が現れたり、腰をひねると痛くなったりします。
手順①四つん這いになります。

手順②息を吐きながらゆっくりとへそを覗き込み、背中を丸めます。

手順③息を吸いながらゆっくり元の位置に戻り、さらに背中を反らしてお尻を突き出します。

②と③の動作を5回繰り返しましょう。

腰痛を和らげるつぼマッサージ

最後は、腰痛を和らげるつぼマッサージについてご紹介。
痛みが出る前や痛みの出始めに押しておきたい、3つのつぼを解説します。

・腎兪(じんゆ)
ちょうどウエストの高さ、背骨から指2本分外側にあるつぼ。
腰に手を当てたとき、ちょうど親指が当たる部分にあります。
親指で下から上へ回すように圧をかけましょう。

・大腸兪(だいちょうゆ)
腰骨の一番上から一直線の高さ、背骨から指2本分外側にあるつぼ。
5秒間指圧して離すを繰り返しましょう。
リズミカルに叩くようにすると、便秘にも効果があると言われています。

・大衝(たいしょう)
足の甲にあり、足の親指と人差し指の骨が合わさった部分にあるつぼ。
強く押すと痛い場合があるので、軽く5秒押す程度にしましょう。

ご紹介したストレッチ方法や腰痛を和らげるつぼは、サロンで教えてもらうこともできます。
自分では正しいか不安なときには、一度サロンに行って教えてもらうのもいいでしょう。

腰痛にはサロンマッサージも効果的!

腰痛の緩和には、自分でストレッチをしたりする他に、サロンでマッサージを受ける、という方法もあります。

サロンでは、人体の構造や腰痛のメカニズムを熟知したセラピストや整体師がでマッサージをしてくれるので、セルフケアでは行き届かなかった筋肉のこりをほぐせます。
こっている筋肉を自分で無理にほぐそうとするとかえって痛めてしまうこともあるため、まずはサロンマッサージを受けて、効果的なマッサージを知るのがベターです。
さらに、人の手でマッサージされることで心理的なやすらぎを得られ、リラクゼーション効果が高まることもあります。
筋肉のこりだけでなく、精神的なストレスで腰痛を引き起こしている場合ば、心身共に安らぐことができるでしょう。

どこに行けばいい?マッサージを受けられる場所の種類

腰痛の原因を知り、根本的に改善したいなら、一度整体やサロンに行って状態を見てもらうのが◎
腰痛に効果的なマッサージを受けられるサロンはいくつかありますが、それぞれアプローチ方法が異なります。
どこへ行くべきか迷ったときには、以下を参考にしてみてください。

・リラクゼーションサロン
手技でこった筋肉をもみほぐしたり、マッサージを行ったりして腰痛の痛みを緩和したりするサロンです。
価格も安いため、気軽に受けに行けるのが魅力。
マッサージを受けたあとは気分も体もスッキリしやすいので、ストレス解消にも有効です。

・整体院
手技を用いて体を圧迫、曲げ伸ばし、関節回しなどを行う場所です。
東洋医学を基礎として、筋肉をほぐしたり、骨盤の歪みを整えていくことで、腰痛を改善します。
慢性的な腰痛に悩んでいる方は骨格の歪みが原因のこともあるので、整体院で骨や筋肉の状態から確認すると良いでしょう。

・カイロプラクティック
アメリカ発祥の手技治療で、筋骨格系や神経系の障害の改善に有効です。
整体と似ていますが西洋医学を基礎としており、全身の歪みを作る大元となる部分を見つけ、全身のバランスを整えるアプローチ方法です。
「なぜ痛いのか」という原因を探るので、腰痛以外の慢性的な不調にも効果が期待できます。

整体院やサロンの選び方

マッサージ中、体を無理にひねったり圧迫する力が強すぎたりすると、かえって腰痛が悪化することがあります。
整体院やサロンに行く際には、事前に口コミを見て、刺激の強すぎる施術をしていないかを確認しましょう。

また、継続して通う場合には、毎回同じ施術者が担当してくれるお店を選ぶこと。
前回の内容やプロセスをきちんと理解しているので、毎回症状に適したマッサージをしてくれるはずです。

腰痛は定期的なマッサージで改善しよう

1度マッサージをすれば腰痛はある程度緩和されますが、慢性的な腰痛なら再発することがほとんど。 なるべく再発させない、根本的な原因から改善していくなら、定期的にマッサージを受けるようにしましょう。 気軽に受けたいなら、まずはリラクゼーションサロンから試してみるのも◎ 並行しておうちでストレッチやツボ押しをしたり、姿勢を意識して過ごすことでより早い改善につながります。 サロンマッサージを受けるときには、ぜひセルフケアのやり方も聞いておきましょう!