自信がないからこそ、小さなことで勇気がもてる

松坂さんが主演を務める『あのときキスしておけば』で、失敗ばかりで覇気のないポンコツ男の桃地を演じていますが、ダメ男に共感する部分はありましたか?

桃地のダメな性格は、自分に自信がないところからきているのだと思います。でも、誰しもそんなに自信満々で生きていくのは難しくて。僕自身もそこまで自信があるタイプではないですし、だからこそ、桃地が本当に小さなことで勇気を持てるのもわかるんです。

その小さなことというのが、憧れの漫画家と出会って、お世話をするようになるという展開ですよね。

その出来事に関しては小さなことではないとは思いますが、この出会いで少しずつ桃地は変わっていくんです。とはいえ、リアルなのは大きく変わるわけではないところ。人ってそんなに大きく変わらないですからね。向いている角度が少しだけ上を向くぐらいの変化かもしれないですが、その微々たる成長を描けたらと。でも、憧れの人と出会って成長できる気持ちはすごくわかります。

松坂さんが憧れている方はいらっしゃるんですか?

僕も漫画が大好きなので、漫画家さんだと井上雄彦さんです。昔から『バガボンド』は愛読していて。だから、どんな仕事現場で漫画を描いているんだろうとか、普段はどんな生活をしているんだろうとか考えますね。憧れすぎて、自分とはかけ離れた生活を送っていると思い込んでしまうので、井上先生がお茶を飲んでいたら、「おぉ、お茶も飲むのか」みたいな(笑)。ひとつひとつに驚きを感じて、前向きな気持ちが持続しそうです。

お風呂あがりの柔軟体操は日課です

憧れの人って特別ですからね。桃地は役柄、ダメ男風なもっさりヘアスタイルですが、今、松坂さんがチャレンジしてみたいヘアスタイルはありますか?

坊主です。役者をしていると「ヘアスタイルは役に合わせて」が基本になるので、オシャレのためにヘアスタイルを変えたいという気持ちがだんだん無くなってきてしまいまして。一度、作品で坊主にしたことがあるのですが、寝ぐせもつかないし、お風呂から出たら拭くだけでいいし、ドライヤーも使わないし、すごくラクだったんですよ。なので、また坊主にしてみたいなと。

ラクなことが基本なんですね(笑)。それだと、プライベートでヘアケアはあまりしないタイプなのでは…。

いえいえ、それがそうでもないんです(笑)。現場だと必ずヘアスプレーやワックスなどを使うので、プライベートではワックスをつけなかったり、自宅では髪をいわたるケアをしています。トリートメントをしたり、自然乾燥ではなくきちんとドライヤーで乾かしたり。定期的にヘアサロンでしっかりヘアトリートメントをしてもらうこともあります。

ヘア以外に体のケアやメンテナンスもされていますか?

お風呂あがりに柔軟体操は欠かさず行っています。血流が悪くなると、体の節々に痛みが出たりするので、その日の疲れをとるためにも、お風呂で体を温めて血流を良くしてから、前かがみになったり後脚を伸ばしたり、開脚したり、背中を伸ばしたりと基本的な柔軟を毎日しています。

柔軟はいいですね。筋トレだと毎日、続けられなさそうですが、柔軟体操であれば日課にできそうです。松坂さんは最近、オフの日には何をしていることが多いですか?

作品に入っているときだと、台本を読んでいることが多いですね。そうするとあっという間に1日が過ぎてオフが終わっています。特に何もなければNetflixでドラマや映画を観ていたり。最近はスペインのドラマ『ペーパー・ハウス』にハマっていました。スペイン語が聞いていて耳心地がいいというか、馴染むのがよくて。スペイン人の性格なのか、登場人物が感情的なのも見ていて楽しいですね。

話が少し戻りますが、ドラマのタイトルにかけて「あのとき●●しておけば」ということが最近あったら教えてください!

少し前ですが、テレビで『エヴァンゲリオン』の新劇場版を連続放送していたのですが、それを保存しておけばよかったなと。エヴァンゲリオンは何度も見返さないとわからないことが多いので、きちんと録画していつでも見られるようにしておけばよかったと、ちょっとした後悔をしています。

プロフィール

1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。2009年俳優デビュー。NHK『今ここにある危機とぼくの好感度について』が4月24日スタート。待機作に映画『いのちの停車場』『孤狼の血 LEVEL2』『空白』がある。

お知らせ

金曜ナイトドラマ『あのときキスしておけば』が4月30日(金)よりスタート。スーパーで働くポンコツ男の桃地(松坂)。唯一の趣味は大好きな漫画を読むことだが、その憧れの漫画家、唯月(麻生久美子)と知り合いになり、いつの間にか使用人状態に。しかし、突然の事故で帰らぬ人になってしまう。落ち込む桃地の前に、唯月と入れ替わったというおじさん(井浦新)が現れた!

構成/菅野美咲(本誌) 取材・文/中屋麻依子 撮影/横浪修(横浪写真事務所) スタイリング/TAKAFUMI KAWASAKI (MILD) ヘアメイク/髙橋幸一(Nestation)