着物にふさわしい髪型のマナーを押さえよう

女性は、ライフイベントの中で着物を着る機会が多いもの。
着物を着る際はその姿が美しく見えるよう、髪型も変えるのがベターです。

とはいえ、着物に合う髪型には悩みが多いもの。
成人式などのイベントはイメージがつきやすいですが、それ以外で着物を着る場合、どんなヘアアレンジをするべきなのでしょうか。

着物のマナー:スタイル編

着物を着用する際の髪型は、アップスタイルが基本。
特に、フォーマルなシーンのでは、襟足やサイドをすっきりとまとめるアレンジが良しとされています。

着物に合わせる髪型の基本がアップスタイルである理由は主に4つです。

・着物の美しさを引き立てる……襟元や後ろ姿がすっきりして、着物のデザインや模様がきれいに見える

・伝統的な和の雰囲気を演出……着物の美しさを引き立て、品と清潔感を強調する

・清潔感やきちんと感を演出……おじぎや食事の際に髪が顔にかからないようにしたり、所作をスムーズにしたりする

・着物の汚れを防止……髪の油分やスタイリング剤で着物が汚れるのを防ぐ


このように、見た目の美しさと実用性の観点から、着物にはアップスタイルが基本とされています。

アップスタイルが推奨される髪の長さのは、肩に付くかが目安。
髪が肩よりも長い方は、アップスタイルを選びましょう。

髪が結べないショートさんや、髪をすべてまとめるのが難しいミディアムさんは、できる範囲で髪をまとめるのがベター。
特にフォーマルシーンでは、顔に髪がかかるようなルーズな髪型は好まれません。

髪を結ぶのが難しいショートさんは、スタイリング剤とコームを使って毛流れを整え、サイドの髪を耳に掛けたり、編み込みをしたりすると◎
前髪やサイドの髪が落ちてこないように工夫することで、清潔感やきちんと感を演出できますよ。
「着物にはアップスタイルが基本」ではありますが、シーンによってはアップスタイル以外の髪型を合わせても問題ありません。

結婚式やお葬式などの礼儀や格式が求められるフォーマルシーンでは、耳後ろよりも下の位置ですっきりとまとめたアップスタイルが主流です。
一方、成人式や卒業式などの自分が主役になるシーンでは、ポニーテールやハーフアップなどの毛先を残したアップスタイルやダウンスタイルでもOK。

だらしなく見えないように清潔感は保ちつつ、自分らしさを表現できる髪型を選ぶとよいでしょう。

着物のマナー:髪飾り編

着物を着用する際は、髪型と同様に髪飾りのマナーもきちんと把握しておくことが大切です。

髪飾りは、着物の色や柄に合わせて選ぶのが基本。
華やかな着物であれば、華やかな髪飾りを選び、シンプルな着物であれば控えめな髪飾りを選ぶと全体のバランスがよくなります。
着用するシーンによって選び方が変わるので、覚えておくと便利です。

結婚式やお葬式など礼儀やマナーが重視されるフォーマルシーンでは、シンプルで上品なものが理想的。
主に次のような髪飾りを選ぶとよいでしょう。

【結婚式】
・つまみ細工
・コーム
・組紐
・べっ甲のかんざし
・玉かんざし

【法事・お葬式】
・黒色のバレッタ
・黒色のヘアピン
・黒色のシュシュ
・黒いリボン
・白や黒のパール飾り


結婚式では、花嫁さんよりも目立たない上品で控えめな髪飾りを選びましょう。
白や黒、アニマル柄のものや揺れるタイプの髪飾りは避け、目立たないようさりげなくまとめると◎

法事やお葬式の場合は、黒を基調とした装飾の髪飾りが適しています。ただし、無理に髪飾りをつける必要はありません。
成人式や卒業式で着物を着る場合は、華やかな髪飾りもOK。
なかには、成人式で付けた髪飾りを卒業式で活用する人もいます。

また、お宮参りや七五三など家族のイベントでは、さりげなく華やかさを添えるような髪飾りを選ぶとよいでしょう。

人生の節目の行事には次のような髪飾りが適しています。

【成人式】
・つまみ細工
・水引
・金箔
・組紐
・かんざし
・アンティークなリボン
・生花・造花・ドライフラワー

【卒業式】※成人式で使用する髪飾りもOK
・サクラモチーフの飾り
・ヘッドドレス
・帽子

【お宮参りや七五三など家族のイベント】
・パールのヘアピン・バレッタ
・リボン
・コーム
・かんざし
・小ぶりの花飾り

髪飾りを選ぶ際は、着物との調和やシーンに合わせることが大切です。
着物にふさわしい髪型と髪飾りを選んで、冠婚葬祭の場でも適切な装いで臨みましょう。

着物に合わせるヘアアレンジはセルフでできる?

着物に合わせてヘアアレンジをする場合、自分でもできるのかどうかが気になりますよね。

結論、セルフでもできるアレンジはありますが、サロンでセットしてもらう方がおすすめです。
理由は、着物に合う髪型には特殊なアレンジを使うケースが多いから。
かんざしや水引などの髪飾りアレンジはもちろん、夜会巻や日本髪といった日常で使う頻度が少ないテクニックもあります。

さらに、フォーマルなシーンのときこそ、サロンセットがベター。
セルフアレンジよりも崩れにくく仕上げてくれるので、一日中素敵なスタイルを保ことができるでしょう。

いつもと違う気分にしてくれる着物には、サロンでしかできないアレンジを合わせるのが◎。
ここからは、着物と合わせたい素敵な髪型をレングスや年代でご紹介していきます。

着物に合う髪型:ショートさん向けヘアアレンジ

ショートさんにおすすめなのは、タイトな和装アレンジ。
大きく華やかなヘアアクセサリーをつけても上品に仕上がります。

顔周りをすっきりと見せて、大人っぽい雰囲気を引き出しましょう。
たっぷりの花飾りを主役に
ショートヘアのメリットは、派手なヘアアクセサリーも上品に似合わせができること。 惜しみなく置くことで、頭部だけ寂しい雰囲気になることを防いでくれます。 お気に入りのヘアアクセサリーを、主役にしてみては?
水引を大胆に置いて芸術的に
金色の水引を、髪全体に大胆に置いたアレンジ。 動きが少ないショートヘアだからこそ似合うアレンジです。 アーティスティックで個性的な印象を演出できます。
ヘアアクセサリーに頼らない水引アレンジ
普通の水引とはちょっと違う水引。 実は、髪で水引を作っているのです。 派手にならず、でも人とは被らないアレンジをしたい方におすすめです。

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着物に合う髪型:ミディアムさん向けヘアアレンジ

ミディアムさんにおすすめなのは、立体感のあるアレンジ。
ダウンスタイルにしても、着物の邪魔にならず可愛らしく仕上がります。

紐や巻き髪を活かして、自分に似合う立体感アレンジを取り入れましょう。
紐をたっぷりと使ってアクセントに
髪を紐でタイトに束ねたアレンジ。 シンプルなフォルムですが、目を引く華やかさを持っています。 大人っぽい仕上がりにしたい方におすすめです。
ダウンスタイルでガーリーに
ミディアムは、ダウンスタイルにしても着物に似合います。 しっかりと巻くことで、着物の華やかさに負けないヘアスタイルにできます。 ガーリーな印象を演出したい方におすすめ。
ねじりアレンジで上品なボリュームを
ミディアムでボリュームを持たせたアップスタイルにするなら、ねじりアレンジがおすすめ。 サイドから後ろにかけた、主張しすぎないアレンジがポイントです。 ハレの日以外の、日常的なシーンでも取り入れやすいアレンジです。

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着物に合う髪型:ロングさん向けヘアアレンジ

ロングさんにおすすめなのは、髪の豊かさや美しさを魅せるアレンジ。
ダウンスタイルの場合は、タイトに仕上げることで着物ともマッチします。

長さや毛量を活かして、ロングヘアならではのアレンジをしてみましょう。
サイドに下ろしてガーリーかつおしとやかに
サイドに編み下ろした、おしとやかなスタイル。 小ぶりなヘアアクセサリーをふんだんに使うことで、ガーリーに仕上がります。 髪は引き出してふわふわに仕上げるのが可愛さのポイントです。
華やかな髪飾りでゴージャスに
すっきりまとめたポニーテールに組紐、玉飾り、水引などを合わせた成人式アレンジ。 複数の髪飾りを使用していますが、ゴールドとホワイトを基調としているためまとまりがあります。 着物を美しく見せるため、毛束の中心から先はシンプルに仕上げるのがポイントです。
ウェーブを描いて華やかに
派手なヘアアクセサリーはなくとも、華やかさを感じるヘアアレンジ。 大きく描かれたウェーブがポイントです。 ロングヘアだからこそできる、重厚感と華やかさのいいとこ取りのアレンジ。

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着物に合う髪型:40代・50代のミセス向けヘアアレンジ

40代や50代といったミセス世代の方達は、日常的に着物を着る機会も多いのでは?

ミセス世代の方々に似合う着物ヘアアレンジは、タイトかつ厚みのあるアレンジです。
シルエットで上品さを演出し、高さや厚みを出すことで華やかさを演出できます。
フォーマルに仕上げたい機会も多いはずなので、まとまりのある髪型を選ぶと失敗がありません。
夜会巻きで華やかに
夜会巻きにアレンジしたスタイル。 高さも華やかさも出る、大人の女性におすすめのアレンジです。 小ぶりなヘアアクセサリーで華やかさを引き立てるのも◎
頭部の形をきれいに見せるアレンジ
高さがあり、頭部の形がきれいに見えるヘアアレンジ。 前髪は、ゆとりを持たせながらサイドへ繋げることで動きが出ます。 どの角度から見ても美しく仕上がる、着物にぴったりのアレンジです。
下に重心を持たせた重厚感あるアレンジ
着物には、下に重心を持たせたスタイルももちろん似合います。 長い髪を折りたたむようにまとめられたアレンジは、髪の艶感を見せてくれます。 毛量が多いロングヘアの方におすすめ。

ヘアセットと着付け、どちらが先?

ヘアセットと着付けを同時に行う場合は、基本的にヘアセットが先です。

先に着付けをすると、化粧品やスタイリング剤が着物に付着するリスクがあるからです。
着物に化粧品やスタイリング剤が付くと、シミや汚れの原因となり、クリーニングや染み抜きが必要になるため注意しましょう。

他にも、着付けの時間短縮と着崩れ防止の目的があります。
ヘアセットと着付けヘアセットには約40分、着付けに約30分ほど時間がかかるのが一般的。
ヘアセットを先にしておくことで、着付けが美しくスムーズに行えます。

着物に合うアレンジで特別な一日に

着物に合う、おすすめのヘアアレンジはいかがでしたか?
ヘアアクセサリーを存分に使ったアレンジから、大人の女性らしさを引き出すきっちりとしたアレンジまで、着物ヘアアレンジの魅力はたくさん。

シーンに合わせたアレンジで、着物を着る日がもっと特別な日になるはずです。