恋愛の中でぶつかるもの、破壊されていくものを繊細に演じたい

Q1:ボブがとってもお似合いですね。髪をカットしてみた感想は?

すごくサッパリしました! 2019年の年末に髪を切るシーンの撮影があって、「溜まった悪いものを手放せるよ」と美容師さんが言っていたので、時期的にももちょうど良かったんです。あとドラマの監督からは、「短いほうが明るくなったし、軽やかだね」と言われて、嬉しかったですね。

Q2:日常生活に、変化はありましたか?

帽子をかぶるようになりました、ベレー帽とか。 中学生の頃は短かったんですけど、その後はずっとロングだったので、ボブは5年振りかな。今は髪を洗うのが楽です(笑)。

Q3:『鈍色の箱の中で』は、LINEマンガの大人気作品を初のドラマ化。幼い頃から同じ分譲マンション一緒に暮らしてきた美羽、基秋、利律、あおい、悟…5人の高校生の“全員片思い”な、恋愛ストーリーです。初めて読んだ感想は?

「すごく人間的だな」って、思いました。 簡単に言えば、「ドロドロだね」って言われるような内容だと思うんですけど。 でも例えば、“刺激的な恋愛”がいいのか、“一緒にいて落ち着く恋愛”がいいのかで悩むことは、中高生だからとか、恋多き女の子だから、が理由じゃないですよね。そこには、一人の女性が生きていく中で、悩んだり、楽しんだりする恋愛の要素が詰まっていると思いました。

Q4:演じる不安はありませんでしたか?

役をいただいて最初は、「どうなるのかな…?」とも思ったんですが。 お芝居をご一緒したい人たちがたくさん集まっていたので、心強く思いましたし、純粋に楽しみだなって思いました。

Q5:『鈍色の箱の中で』では、主人公の美羽に劣等感を持っている、あおい役。意外ではなかったですか?

いえ。美羽ちゃんか、あおいちゃんなら、私はあおいちゃんだなと思いました。 あおいちゃんは、美羽ちゃんのように芯が強くてまっすぐ、というよりは、自分の心を多くのことで満たそう、そこから何かを得て豊かにしていこう、という思いが強い子。 私も一つに集中するより、いろいろ見たいタイプなので、似ているって思うんです。ただ、あおいちゃんはすごく寂しがり屋なので、そこはちょっと違う。でも私の中にある、そういう部分を引き寄せて演じられたかな、とは思っています。

Q6:自身がもし同じマンションに住んでいたら、誰に惹かれていました?

悟かな。彼の純粋な優しさは、憧れます。 日常的に笑っていられるような関係ですよね。ああいう人が側にいるから、あおいちゃんは甘えていたんだなって、すごく納得しました。

Q7:あおいという役柄をどういう子だと思って、演じていましたか?

“いちばん視聴者が感情移入しやすい役”です。 可愛い友だちに嫉妬したり、自分の好きな人の好きな人に嫉妬したりって、多くの女性が経験する感情だと思うんです。 なので、みなさんにストーリーに共感してもらえるように、ある時のあおいちゃんの心情が、ヤキモチなのか、嫌いなのか、好きだけどその時に起きてしまったトゲトゲした感情なのか、丁寧に表現することを意識して演技していました。

Q8:ひとつの区切りとして髪を切ったあおいの変化、どう捉えましたか?

相手を許す。その心の広さは、髪を切った後のお芝居の方があったかな、と思います。気持ちが軽くなって、縛られていたものから少し解放されたあおいちゃんがいたのかなって。

女優の仕事を通して、自分の気持ちと向き合うことが増えました

Q9:ちなみに夏美さんご自身は、どのような高校生でしたか?

モデルのお仕事もさせていただきながらも、普通に高校生活は送れていたので、しっかり学生を楽しんだ瞬間もありましたし、でもひとりでポツンといる瞬間も多かったです。高校時代は特に、いろんな感情が頭の中を回っていて、日々いろんなことを考えていたので、日によってキャラクターが違ったと思います、たぶん。 その時はそれが安定するひとつの方法だったんですけど、当時の自分が今、目の前に現れたら、「助けてあげたいな」って感じると思います。

Q10:その後、夏美さんにどんな変化があったんでしょう?

10代の終わりは、20歳を目前にして、少し怖くなっていたんです。“大人”というワードに縛られて。でも、なってみたら、中身もそんなに変わらないし、実にあっけらかんとしていた。その時、“大人”って意外にこんな感じなんだって思ったり、人それぞれなんだって思ったりしました。 そして、許すことができたんです、自分を。それは髪を切った感覚に近かったと思います。それまでの自分を捨てるっていうよりも、丸ごと受け入れることができた感覚です。

Q11:夏美さんは、どんな恋愛が理想ですか?

尊敬し合える関係がいいな、って思います。 実は私から見た、両親がそうなんです。お互いのダメなところも、いいところもわかっていて。相手のすごいと思う部分を、相手がいない場でもよく話したりする。そういうのを見ていると、尊敬し合える部分がある人たちの恋愛は、素敵だなって思います。 両親の恋愛は100%理想です。

Q12:ドラマの役柄のあおいのように、成長したと思えた経験はありますか?

女優業を始めたことで、自分が豊かになれたなって思っています。 年齢を重ねたからっていうのもあると思うんですけど、モデル業に加えて、15歳からお芝居をやらせてもらえたことで、「この子はこの時、どう思っているんだろう」って考えながら役と向き合っていくことが増えて、私生活でもそういったことをよく考えるようになりました。人の気持ちに敏感になったのは、自分でも変わったと思う部分です。 また相手だけではなく、“自分は今、どう思っているのか”も意識するようになりましたね。

キラキラした時間を、いつまでも長く持ち続けられたら

Q13:おしゃれなあおい役を演じられていますが、夏美さん自身、ビューティーに関心はありますか?

はい、小学校5年生くらいからファッション雑誌を読み始めて、そこから自分でモデルオーディションを受けたり、メイクしたりって感じだったので、ずっと好きです!

Q14:おしゃれであろうとすることは、どんな意味を持っていると思いますか?

おしゃれは楽しくって、すごく特別なこと。 私は普段のお仕事現場には楽な格好で入ることが多いタイプなんですが、お休みの前日には、「何着て行こうかな?」って考えたり、当日朝に鏡の前で、「何色のリップをつけようかな?」って思ったりする。それだけで、その日がすごく特別な日になる気がするんです。

Q15:オススメの美容法があれば、ぜひ教えてください

髪の毛に関しては、ほぼ毎月、美容室にトリートメントに行っています。あとシャンプーやトリートメントは、薬品が多いものは使わないように、なるべくナチュラルなものを選んでいます。 肌のお手入れ方法は、祖母直伝で、“化粧水”を溺れるほど浴びてます。 私より肌の綺麗な祖母を見て真似しているうちに、化粧水がだいぶ重要だということがわかって。だって、使っている回数が全然違うんですよ。 今はシャワーを浴びて一度タオルで拭いているのに、またシャワー浴びたように見えるくらいに化粧水をたっぷりつけて、その後クリームも全身につけて、を毎日欠かさずやっています。

Q16:ホットペッパービューティマガジンは、「女の子の“変わりたい”を応援する美容メディア」です。夏美さんが“変わりたい”と思うのはどんな時?

やっぱり、新年とか、新学期のような“節目”って、ワクワクしますよね。 今回は年末年始のタイミングで髪を切らせてもらったこともあって、すごく変わりたいなって思えたタイミングでした。 中学生から高校生、高校生から大学生、社会人になるタイミングは、環境も気持ちも、特に大きく変わりますよね。ほかにも節目に限らず、みんなそれぞれに変わりたいタイミングがきっとある。そういう時、変わることに不安にならずに、楽しめると素敵な女の子になれる気がします。

Q17:最後に、『鈍色の箱の中で』の最終回を楽しみにしている読者のみなさんへ、メッセージをお願いします

このドラマは、とても思い入れのある作品。 中でも、私が印象に残っているシーンは、最終回に多いんです。あおいちゃんとそれまで一緒に過ごしてきて、結末には「こうしたい」「こうなってほしい」っていう思いでお芝居をして、演じ終わってからは「こういうシーンになった!」って達成感もあります。 みなさんにも、「あのシーンの続きは?」とか、「あの人とあの人、どうなったんだろう?」とか、ハラハラしつつも、楽しく観ていただけたらうれしいです。

プロフィール

岡本夏美 1998年7月1日、神奈川県生まれ。13歳の時に『ラブベリー』のモデルオーディションでグランプリを受賞し、ファッションモデルデビュー。『nicola』『Seventeen』の専属モデルを務め、2019年1月からは『non-no』の専属モデルに。また15歳から映像デビュー。女優として、ドラマ『GTO』『さくらの親子丼2』、映画『賭けグルイ』等に多数出演。現在、2020年春ドラマ『鈍色の箱の中』に、高鳥あおい役で出演中。

● スタッフ 構成・文/丸山央里絵(Funday) 撮影/藤井由依 スタイリング/田中歩美 ヘアメイク/内城千栄子 ヘアメイク助手/和田弥生