舞台が始まる前、なんでこんな怖いことしてるんだろう?って(笑)

舞台『千と千尋の神隠し』は、あの名作アニメをジョン・ケアードが演出するということで注目度が高い作品ですけど、千尋役が決まっていかがですか?

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私、ちっちゃい頃から千尋に顔が似てるって言われていて。 目が離れてるところが似てるなって、自分でも思うんですけど(笑)。 だからポスター撮影とかは、すごくしっくりきました。 製作発表でポスターが公開された日は、友達から「完全に千尋だった!」ってメッセージがたくさん入ってました(笑)。

でもやっぱり10歳を演じるっていうのは、結構な壁なので。 ビジュアルだけでは難しいと思うから、お芝居でしっかり10歳になりたいなと思います。 内面を千尋に寄せていけるように、がんばってるところですね。

アニメ版については、どんな印象ですか。

7歳の時に初めて見て、あまりに圧倒的な世界観だったので本当に心に刻まれている作品です。 子供ながらに、恐ろしさと同時に引き込まれるものを感じて、おいおい泣きながら最後まで見たらしくて。 それをこうやって演じることになった巡り合わせみたいなものを、すごくうれしく、ありがたく感じています。

ドラマや歌手と幅広く活動されている中で、上白石さんにとって舞台はどのようなものですか?

私は、舞台が一番好きです。 純粋にいちファンとして目の前で役者さんが身を削って表現してるっていうのは、本当に感動するし、劇場の空気が全部好きです。

演じる側としては、「自分は何ができて、何ができないか」っていうのを痛感するんですよね。 映像だと撮ったら「はいOK」って次に進んでいくんですけど、舞台だとOKがないまま次の日も同じシーンを演じることになるので。 ひたすら自分で悩んで考えて、ひとつの脚本に何ヵ月も向き合えるっていうのは、本当に贅沢な時間だと思っていて。 めちゃくちゃ苦しい時間でもあるんですけど、すごく必要な時間でもあって。 舞台をやるたびに、初心に返ります。

生身の体ひとつでお客さんに全部さらされる感じだから、よく考えると怖いですよね。

だから、我に返っちゃいけないですよね(笑)。 たまに開演前とか、心臓バクバクしながら「なんで私、こんな怖いことやろうとしてるんだろう」って思うことがあるんですけど(笑)。

でも、一人じゃないし、舞台はみんなで作るものですし。 板の上にいたら、何かあっても絶対に誰かが助けてくれる、っていうカンパニーの信頼感もありますし。……うん。 そうやってみんなで一期一会の空間を共有してるっていうのが、しびれるくらい好きですね。

ただ今回のように長丁場で、いろいろな都市で公演というのは、きっとめずらしいですよね。

なかなか……半年続ける公演っていうのはないですよね。 ただ去年、(『千と千尋…』でも演出をつとめる)ジョン(・ケアード)に演出していただいたミュージカル『ナイツ・テイルー騎士物語―』も、90公演くらいをシングルキャストでやっていて。 公演数としては、『千と千尋…』より多かったんですよね。

でも今度はダブルキャストの面白みもあると思いますし。 5都市を回るので、土地土地の空気感もあるでしょうし。 また、面白い形にできるんじゃないかなと思います。

今回は、千尋役を橋本環奈さんとダブルキャストで演じる他、全キャストが2人ずついるんですよね。 稽古は橋本さんと一緒に?

そうです。 だから環奈ちゃんの稽古を見られるのが、めちゃくちゃ勉強になるんですよ。 今まで、自分が出てるシーンの稽古って、映像以外では絶対に見られないものだったので。 客観的にその空間を見られるっていうのは、すごく面白いなと思います。

お芝居が変わったりしそうですね。

そこは難しいところなんですよね。 「うわ、あれ真似しよう」って思って「めちゃくちゃ真似してる」って思われるのも恥ずかしいし(笑)。 でも、そういうところも超越して、高め合ったり刺激しあえていると思います。 環奈ちゃんはすごくいい人だし、尊敬する役者さんでもあるので。 いっぱい学んで盗んでいこうと思ってます。

舞台では自分でメイクされるんですよね?

そうですね。いつも自分です。

舞台の時を含めて、最近ハマっているメイク方法やカラーはありますか。

普段使うのは、アイシャドウとかもベージュ系の、ベーシックな色ばっかりです。 メイク方法としては、目が離れてるのをちょっとでも近づけたくて(笑)。 目頭のアイラインとか眉頭とかをしっかり描くようにしてます。

最近は、メイクするときに自分の中での流行りがあって。 先にメイク道具を全部出すんですよ。 で、使ったものからしまっていって、メイクが終わったら全部きれいになってる、っていうのが好きです(笑)。

普通に使うものを出してひっこめて……ってやると「マスカラつけるの忘れた」とか、あるんですけど。 全部先に出すと使ってないものが残るので、きちんとメイクができる。 この方法は、結構おすすめです。すっきりするし。

好きなメイクアイテムってありますか?

メイクアイテムとはちょっと違うかもしれないんですけど、去年すごくかわいい木のメイクボックスを買ったんです。 またメイクする時にハンカチみたいなものを敷くんですけど、それもすごくかわいいのを見つけて。 だから今、鏡前が充実してめちゃくちゃいい感じなんです。るんるんでメイクできます(笑)。

では、体型キープのために何か行っていることはありますか。

去年の秋くらいから、YouTubeのエクササイズ動画を見ながら肩甲骨と二の腕と肩周りを鍛えてます。

私、ジムとか続かないんですよ。 行くのがおっくうだし、汗をかいてからそのまま帰るのも嫌で。 家でできるから、ちょっと汗かいてからお風呂に入ってます。肩甲骨を鍛えたら全身が痩せやすくなるとか、顔とかの流れも良くなる、みたいなのを聞いて「よし!」と思って(笑)。 がんばってます。

効果は感じました?

舞台に入っていた11月頃は毎日ノースリーブを着てたので、「二の腕が痩せてきたね。食べてる?」って言われて。 でもめっちゃ食べてたので(笑)、成果が出てるんだと思います。 痩せるだけでなく、肩こりとかにもいいですし。 なにより、タダっていうのがポイントです(笑)。

逆に、自分を甘やかしたい日のご褒美グルメやスイーツがあれば教えてください。

ポテチ……!作品のクランクアップの日とかは、ポテチ食べますね。 「よっしゃー!」って、パーティ開けして(笑)。 九州しょうゆ味が好きです。

最近初めて食べて美味しかったもの、印象的だったものはあります?

焼いた白子!めちゃくちゃ美味しかったです。 近所のご飯やさんで「今日はこれが美味しいよ」って、おすすめのものを焼いてくれて。 白子って、生のイメージが強いじゃないですか。 でも焼くと、重たさやクセがなくなるんです。 焼き方も上手だからだと思いますが、ちょっとカリっとして、中はトロトロで。 これが多分白子の正解、ってお店の方が言ってました(笑)。

最後に、人生最後の日に食べたい物というと何でしょう。

すき焼きですね。うちの家族は、お祝いごととかイベントが全部すき焼きなんですよ。 誕生日もクリスマスも大晦日も、バレンタインとかも(笑)。 味は、鹿児島出身なのでしょうゆも甘いし砂糖もどばどば入れた、めっちゃ甘いのが好きで。 先に肉を焼いてから割りしたをばっと入れて、ぐつぐつ煮る感じです。 最後は家族4人でその甘いすき焼きをつついて、ちゃんと締めまでやって死にたいです(笑)。

プロフィール

1998年1月27日、鹿児島生まれ。2012年のミュージカル『王様と私』で初舞台。 映画『舞妓はレディ』、『ちはやふる』シリーズ、『君の名は。』での声優、ドラマ『恋はつづくよどこまでも』『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』のほか、歌手としても活躍。

お知らせ

宮﨑駿アニメの舞台化作品『千と千尋の神隠し』千尋役で主演。 演出はミュージカル『レ・ミゼラブル』で知られる英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター、ジョン・ケアード。 橋本環奈とのWキャストで、3月2日〜29日帝国劇場の東京公演を皮切りに4月大阪、5月福岡、6月北海道、6、7月名古屋と各地で公演の予定。

上白石萌音さんの更に詳しいインタビューは、2022年2月号の『HOT PEPPER Beauty』 にも掲載されています。街頭ラック等でGETしてね!

構成/菅野美咲(本誌) 取材・文/江尻亜由子 撮影/新田桂一(ota office) スタイリング/嶋岡隆、北村梓(Office Shimarl) ヘアメイク/冨永朋子(アルール)