パーソナルカラーが気になる。だから専門家に聞いてみた
SNSや雑誌では、パーソナルカラーに関する様々な情報が日々飛び交っています。そんなパーソナルカラーの知見を見聞きし、筆者自身も、「自分のタイプは?」と疑問に思いました。そこで、パーソナルカラーを深掘りすべく、専門家の方の元へ診断も兼ね取材を依頼。ご協力いただいたのは愛知県名古屋市にてEtinc’elle(エタンセル)というサロンを構え、パーソナルカラー診断を行なっているMARINAさんです。
パーソナルカラーとは?
パーソナルカラーとは身に付けるものそれぞれが生まれ持った身体的特徴と調和し、顔色をより美しく見せてくれる色のこと。1920年代にアメリカで開発された色彩調和論をもとに1980年代に誕生したもので、当初は美術やインテリアなどに重宝されていたのです。時が経ち1980年代以降になるとその幅はぐっと拡大したとMARINAさんは言います。
そんなアメリカで誕生したパーソナルカラーですが、日本へ伝わったのは1980年代後半の出来事。ファッションや美容への感度が高い方を中心に知識が深められていきました。
MARINAさんによれば、ふたつの観点でメリットがあるとのこと。 まずは気になる方も多いであろうファッション・メイクの観点から。似合う色を知り、身に纏うことで肌が綺麗に見えるようになります。パーソナルカラーが個人の魅力を引き出してくれるのです。 そしてもう一つ大切なのが日常生活からの観点である、対面での第一印象が良くなるということなんです。就職活動における面接や、社会人で社内外とコミュニケーションをとるときなど、生活のうえで重要な対面経験は誰にでもあるでしょう。パーソナルカラーはそんなシーンにおける人の印象や好感度にも大きく影響します。そのため一度知ってしまえばおしゃれに関することだけでなく、日常生活でも活用できるようになるのです。
パーソナルカラーはどのように分類されるの?
パーソナルカラーは主にスプリング、サマー、オータム、ウィンターの4つのタイプに分類されます。しかしサロンによっては、さらに細かく分類する16タイプのパーソナルカラー診断を行っている場合も。こちらは診断を行う方が所属している協会ごとに呼び名をはじめとするニュアンスが少しずつ異なってきます。そのため今回は代表的な4分類を詳しく解説します。
また身体的特徴としては、 ・肌が薄く、明るめ ・目の色素が明るく、ゴールデンブラウンのような色味が代表的 ・黒目の縁がはっきりとしている ・髪の色素や質感には個人差あり などが挙げられ、元気でポップな雰囲気を纏っている方が多いそう。
続いて身体的特徴としては、 ・肌が薄く、明るめ ・目の色素が明るく、レッドブラウンのような色味 ・黒目の縁がぼんやりしている ・髪が細く、柔らかい などが挙げられ、上品な雰囲気を纏っている方が多いとのこと。
身体的特徴としては、 ・肌が厚めで黄みがかっている ・日焼けをすると小麦色になる ・肌質はマットでツヤが出にくい ・黒目の縁がぼんやりしている などが挙げられます。オータムさんに似合う色は昨今人気を集める流行カラー。そのためおしゃれな印象を抱きやすいのだとか。
身体的特徴は、 ・肌は薄い人もいれば、厚い人もいる ・目や髪の色素が濃い ・黒目の縁がはっきりしていて、目力がある ・髪にハリやコシがあり、毛量が多い かっこいい雰囲気を纏う方が多く、重厚感・リッチという言葉がしっくりきます、とMARINAさんは言います。
パーソナルカラー診断を受けてみたい。サロン選びのポイントは?
パーソナルカラーは診断環境が結果に大きく影響する、とMARINAさん。正確な結果を出すためには、自然光が入るということが非常に重要だそう。そのためサロン選びの際には、窓の大きさもチェックしておくと良いでしょう。
パーソナルカラー診断は担当者とのコミュニケーションが非常に重要。つまり、担当者との相性も事前にチェックしておくのがいいのだとか。というのも、自分の求める診断のスタイルが理論的なのか感覚的なのか、そこに相違があるとミスマッチとなる可能性があるためです。 そんなトラブルを避けるためにもMARINAさんがすすめるのは、担当者のSNSをチェックすること。SNSはホームページのようなオフィシャルなものとは違い、投稿や文章から人柄を伺うことができますよね。投降者本人のパーソナルな部分が垣間見えるからこそ、自身との共通点や相性もチェックしやすいというのは納得です。
パーソナルカラーの流れ1:カウンセリング&解説
ここからは筆者が診断いただいた内容をご紹介。まずは、カウンセリングから。受けようと思ったきっかけから、自身がどうなりたいのかまでを確認してもらい、4分割のパーソナルカラーに関する説明をしてもらいました。
パーソナルカラーの流れ2:メイクオフ
パーソナルカラー診断はすっぴんで受けるのが鉄則。カラーコンタクトをしている場合も、外してから診断を行っていきます。というのも、その人本来の身体的特徴が分かることで正確な結果を期待できるから。また、パーソナルカラーにあったコスメをサロンで提案いただいたり、実際に使ったりすることもあるため、メイクをせずに受診するのです。
「メイクをしないで来店した方がいいのでは?」と思った方もいるかもしれません。しかし実際にはメイクをして訪れるのがベターだそう。なぜなら普段のメイクの雰囲気や使用しているカラーを知ることで担当者が好みを把握でき、よりその人にあったアドバイスが可能に。色の認識のズレを防ぐことにもつながると、MARINAさんは話してくれました。
パーソナルカラーの流れ3:Before撮影
メイクをオフした後は、自然光が差し込む場所でBeforeの撮影に。今回はノーマルカメラに加えて、肌が綺麗に写るアプリでも撮っていただきました。
パーソナルカラーの流れ4:診断(ベースチェック)
顔まわりの髪の毛を留め、白いケープをつけたら、いよいよ診断はスタートです。まずは身体的特徴のチェックから。筆者の場合、目の色素が濃く印象がはっきりしているそう。加えて毛量も多く黒髪であり、硬めの質感と判断いただきました。 続いて、ゴールドとシルバーのドレープと呼ばれる布を当てて、大まかにイエローベースなのかブルーベースなのかを判断していきます。ここではゴールドが似合うならイエローベース、シルバーが似合うならブルーベースとなります。
筆者の場合、肌に透明感が生まれるのがシルバーでした。ゴールドを当てるとクマが目立ち、くすみが気になるようになったことからブルーベースと分かりました。一方でイエローベースの方がシルバーを当てると明るくはなるものの青白い印象に。ゴールドを当てることで、顔色がよく見えるそうです。 またブルーベースの方の中にはゴールドよりは黄みが控えめであるシャンパンゴールドが似合う方も。私の場合ブルーベースですが、シャンパンゴールドは物足りない印象に。この色ならば、いっそ顔の色素と同じぐらい強いゴールドの方が良いともアドバイスを頂きました。
ベースのタイプが分かったら、さらにシーズンを特定していきます。布を当てるのは、ピンク、ブルー、イエロー、グリーン、レッド、ホワイト、最後にファッションでの使用頻度が高いベーシックカラーという順番。この順番にも決まりがあり、1番初めにピンクを当てるのは人間の血色の色であり、その方の頬の赤みと合わせて確認するためだそう。
私の場合、ブルーベースはどちらも違和感はないが、顔の色素に調和するウィンターカラーがよく似合うとのこと。さらにはくすみが苦手なタイプであり、何も混じっていない原色などのクリアなカラーが似合うとも教えていただきました。
濃いカラーが似合うウィンターさんは、同じく濃いタイプであるオータムカラーも似合うと考える方が多いそう。しかし実際は異なる場合がほとんどで、私はオータムが最も苦手なカラーだと診断を受けることで分かったのです。シーズン問わず得意なカラーを当てている時は肌に透明感や血色感が生まれるのに対し、苦手なカラーを当てている時はクマやほうれい線などの嫌な影がよく目立つように。
パーソナルカラーの流れ5:診断に沿ったメイク提案
自分のタイプが分かったら次は、似合うコスメ選びへ。今回診断していただいたMARINAさんは大のコスメ好きということもあり、多くのコスメの中から似合うものを的確なアドバイスとともに教えていただきました。
まずはメイクの土台となるベース作りから。ウィンタータイプは、ベースでくすみや黄みを飛ばすことがとても重要だと教えていただきました。というのも、ファンデーションは時間経過とともに酸化しより黄色くなってしまうから。またベースで肌色を整えておく必要があると、MARINAさんは続けます。
次は、アイメイク。アイシャドウは、ウィンターに似合うカラーのキーである「青み、暗い、くすみなし、鮮やか」が押さえられているものをおすすめしていただきました。またアイライナーやマスカラは面積が小さいため苦手なカラーを使うにはベストだそう。さりげなくカラーが分かることでおしゃれ見えもします。 他にも先述の下地と同じく、アイシャドウにもベースにパープルを仕込んでおくことで、黄みやくすみ防止につながるそう。苦手とするイエローベースのカラーを使用する際にも良いのだとか。
顔の中でも占める面積の大きいチークは、やり方は2パターンあります。1つ目は色を出すやり方。頬にしっかり色を乗せたい場合は、青みを帯びた濃いカラーがベター。中顔面を埋め、透明感を与えてくれます。2つ目は引き算を意識したやり方。濃いカラーが似合うウィンターさんですが、全て濃くしてしまうと強く、デイリー使いが難しい印象に。そのためチークは青み系のハイライトのようなもので抜け感を意識するとバランスが取れるようになります。
最後はリップについてご紹介。リップはチークとは反対に引き算をしない方がベターな部位。まさに似合う色ど真ん中である、赤系や紫系を持ってくると全体的に引き締まった仕上がりになります。 似合うコスメを使って仕上げたメイクは肌の透明感が段違い。そこに色が与えるイメージの大人っぽさが加わり、都会的な印象になりました。一方で可愛らしいメイクがお好きな場合は、色彩心理を利用してフューシャピンクをはじめとするウィンターさんに似合うピンク系のカラーを使うと良いのだとか。全体的に大人っぽいカラーが多い中でも、工夫次第で仕上がりや雰囲気を変えることができるんです。
パーソナルカラーの流れ6:After撮影
メイクが完成した後は、Beforeと見比べるべくAfter撮影へ。鏡で見ている時はもちろん、写真で見比べるとさらに大きな変化を体感することができました。
1番の違いは肌の透明感。顔だけ不自然に浮いていたBeforeに対し、Afterでは自然にトーンアップし、顔の色素に調和した仕上がりとなりました。また取材当日は、時間が経過してもくすみが目立ちにくく、メイク崩れも汚く見えることはなかったのです。
パーソナルカラー診断を受けた感想!時間と費用はどれくらい?セルフ診断はできる?
診断を受けて感じたのが、自分のタイプが分かることで、垢抜けの近道になるということ。「トレンドのカラーだから使っているけど、なんかしっくりこない……」「写真写りがなんとなく悪いような気がする」なんて方は自分のパーソナルカラーを知ってみるといいかもしれません。 そんなパーソナルカラー診断の費用はサロンによっても異なりますが12000円〜15000円が相場に。また時間も1時間半〜2時間をみておくと良いでしょう。どうしても費用や時間がかかるパーソナルカラー診断ですが、一度診断すれば様々な場面で活用できる優れものと考えればコストパフォーマンスの良さは言わずもがな。
何より主観が入っていない第三者かつ知識をもった方に教えてもらうことで、正しい結果を得ることができるというのも、サロンで受診するメリット。サロンで診断を行えば似合うカラーだけではなく、苦手なカラーの取り入れ方も教えてもらえます。「好きな色と似合う色が違った……」なんて場合も相談することで、上手く自身のパーソナルカラーと付き合えるようになるのです。
パーソナルカラーを、ヘアスタイルにどう活かす?
パーソナルカラーは、ファッション、メイク、ヘアのどれにもっとも強い影響するのでしょうか? MARINAさんによれば、顔の肌に近いものから順に影響が強く出るとのこと。つまり、メイクがもっとも影響するそうです。
私はウィンタータイプのため、ハイトーンにするのであれば「黄みを抜いた白に近い金髪の方が似合いやすい」とのアドバイスもいただきました。また褪色が黄色っぽくならなかったり、くすみがないヘアカラーを選んだり、というのもウィンタータイプがヘアカラーを選ぶポイントになるそうです。
パーソナルカラーと上手に付き合うコツは?
オレンジにしたい、として「明るいのかくらいのか」「くすみがあるのかないのか」などの選択肢があるので、そこを美容師と相談して決めていくといいとMARINAさんは続けます。
パーソナルカラーは自分の現在地を知るためのもの
MARINAさんによれば、パーソナルカラー診断が流行する中で、その結果に縛られて過ぎていると感じる方も多いそう。 そして、パーソナルカラー診断はあくまでも「似合う」を広げるために現在地を見つけるものであるとも教えていただきました。 パーソナルカラーは奥が深い診断。だからこそ知っておくとおしゃれだけではなく、今後の人生でずっと役立つ知識でもあるんです。日常生活ではもちろん、人生の節目である大事なタイミングで活用することで、ずっと良い思い出として残るはずです。